姿勢・運動発達の原理

発育と発達
新生児にはお腹の中にいた頃から取っている屈曲姿勢が残っています。この段階の赤ちゃんの動きは無意識的でゆるやかです。動きは全身を使ったものであり、子宮内での動きが続いていると言えるでしょう。頭は左右に動かすことができます。赤ちゃんを寝かせる場所の表面に気を配り、心地良いものにしてあげましょう。この段階の赤ちゃんは一次反応によって反応します。視覚はまだ完全に発達しておらず、はっきりした色のコントラストしか見えません。赤ちゃんの顔から25~30cmのところに顔を近づけ優しく話しかけるか歌うかしてあげてください。赤ちゃんは人の顔を好みます。また、お腹の中にいた頃から聞いていたあなたの声を思い出します。

時間が経過し、接触、音声、見つめるといった刺激が与えられ続けると、赤ちゃんの発達も続いていきます。赤ちゃんはもう生後2か月となりました。頭部の制御もうまくなり、首の中心で支えられるようになりました。背骨と骨盤も成長して直線になり、赤ちゃんが触ることのできる範囲が広がっています。この段階では、赤ちゃんはお母さんの笑顔に答えて、意図的にお母さんを眺め、笑顔を見せることができるようになっています。一度試してみましょう。あなたが腹ばいになり、赤ちゃんを仰向けに寝かせてカラフルなおもちゃで遊びます。赤ちゃんの手に片方ずつ優しくおもちゃを握らせてあげ、数秒持つことができるか試してみましょう。

赤ちゃんが成長し発達するにつれて、赤ちゃんの大きな筋肉(背中、腹部、臀部)と小さな筋肉(指、目、足)が強くなっていきます。赤ちゃんは手を伸ばしてものをつかむようになります(足も伸ばすことができるようになります。足元におもちゃを置いて足で蹴って動かしたり、音を鳴らせるようにしてあげましょう)。こうした手でつかもうとする動作は最初はうまくできませんが、時間が経ち赤ちゃんが練習を重ねるにつれ、正確につかめるようになってきます。これは赤ちゃんが自分の身の回りを制御することを学ぶのと同様、原因と結果を学ぶのに最も良い方法の一つです。この段階になると、偶然腹ばいの姿勢から仰向けになることがあるかもしれません。赤ちゃんの頭部は重いので、視線を移そうとしたときに身体も一緒に回ってしまうことがあるのです、思いもかけず寝返りをうった赤ちゃんは驚いたり泣いてしまうのが普通ですが、時間が経つと、自分からこの動作を行うようになります。仰向けに寝かされている間も赤ちゃんは両足をあげあごを引いて腹筋を鍛えています。色々な場所におもちゃを吊しましょう。赤ちゃんは色々な方向に向かって手を伸ばし、さまざまな筋肉を鍛えることになります。体験のバリエーションは豊富な方が効果的に学習できます。この頃になると、赤ちゃんが手足を伸ばしたり足を閉じたりする上で身体の中心がかなりしっかりするようになります。

生後6か月も近くなると、赤ちゃんは回転し始めるようになります。腕と胸の力が付き、両手で自分の体重が支えられるようになります。
仰向けのときも腹ばいのときも目指すものに手を正確に伸ばして取ることもできます。赤ちゃんの斜め前におもちゃを置いて、赤ちゃんがそちらの方向へ向くように促してみましょう。
赤ちゃんは骨盤と肩の動きを分離することができ、横向きになって遊ベるようになっています。寝返りも背中からお腹へと自分でできるようになり、腹ばいで遊べる時間が増えました。
赤ちゃんが仰向けに寝ているとき、手と足の素晴らしい連携を見ることができます。膝やかかとをつかみ足を自分の方に引き寄せたり伸ばしたりするのです。
素晴らしい!
これで、赤ちゃんが自分の身体を理解し初め、筋肉を伸ばし、手や口で足を感じていることがわかります。
最初のはいはいのチャレンジを目にするのもそう遠い日ではありません。最初は、腹ばいになった赤ちゃんが後ずさりする光景かもしれません。
すべての運動能力の学習プロセスがそうであるように、最初はうまくできず、長続きしないでしょう。
練習しやすい環境とスペースを整え、手の届くところから少し離れたところにおもちゃを置いて、赤ちゃんの練習を手助けしてあげましょう。
そうすることで赤ちゃんはより遠くに手を伸ばし、周囲を研究し、自分との境界線を確かめることができるようになります。お母さんの存在は不可欠です。
そばにいて見守ってあげてください。お母さんの承認と、協力と、支えを必要としているのです。

生後8か月になると筋肉は両手足で体重を支えられるほど強くなります。
赤ちゃんは前後に身体を揺らし始めるでしょう。これは、これから獲得する四つん這いでのはいはいとつかまり立ちのための練習をとても自然な形でしているのです。
この前後に身体を揺らす動きは前庭覚(身体感覚)を刺激し、骨や手足の関節を圧縮する働きをします。この段階でおすわりするのを見かけることもあるでしょう。
片側を下にして横になり、手に体重を預けて座るのです。座れるようになると、座った状態で手が届く位置におもちゃを置いてあげるといいでしょう。
今や赤ちゃんは背中をまっすぐにしてバランスを保てるだけの筋力を付けています。
前のめりに倒れないように自分を支えることもできますし、もう少し経てば横に倒れないように支えることもできるようになります。
そして、その次は後ろに倒れないようなメカニズムを発達させるのです。おすわりをしている赤ちゃんが安全に遊べる環境を整えるときには、赤ちゃんの背後や横にも注意してあげましょう。
おすわりができると、発声能力の発達が促され、新しい視点で回りが見えると同時に、手が自由になるため遊びの自由度が上がります。
背中と肩の筋肉は身体を安定できるだけ強くなり、手や指も強くなって、手を伸ばす、つかむ、意図的に放す、引っ張る、回す、両手で遊ぶというように、より意図的で高度な遊びが可能になりました。
赤ちゃんと容器からものを出したり入れたりしたりボールを転がしたりして、原因と結果を使ったゲームをして遊びましょう。おもちゃを赤ちゃんの肩の高さまで持ち上げて、背中をまっすぐ保てるようにしてあげましょう。

しっかり座った姿勢から赤ちゃんははいはいへと移ります。ときには四つん這いのはいはいと後ずさりが一緒になってしまう場合もあるでしょう。
この発達は劇的で同時に起こります。それが自然なのです。赤ちゃんが10か月になると、家具やおもちゃにつかまって立った状態になるのに気が付くでしょう。
最初の頃は、つかまり方も下手くそですが、練習すればするほど上手になってきます。
つかまり立ちは足に全身の体重を支えるという全く新しい、そして、非常に重要な役割を与える運動能力的発達です。
より狭い面積でバランスを取ることや初めての高さに慣れることなど、新しい挑戦が始まります。ありがたいことに、成果はすばらしいものです。
立ち上がることは新たな視界が開け、好奇心をそそる運動能力的挑戦が始まり、そして歩くことへつながります。赤ちゃんが立ち上がることに自信を持つようになったら家具やおもちゃを伝って移動するようになります。
この練習の段階の遊びの環境は安全であることを確認してください。赤ちゃんは最初横向きに歩き、次に前に歩いたり身体の向きを変えたりします。
しばらくすると赤ちゃんは手を放し、支えなしに立つことを練習し始めます。この段階の赤ちゃんは歩く寸前であり、次の段階である「幼児」になろうとする段階に入っています。



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