骨格筋の構造理解

運動生理学
骨格筋の構造の話に入る前に、筋組織の全体像を確認しておきましょう。
筋組織は「骨格筋」「心筋」「平滑筋」の3種類に分かれており、それぞれ役割は異なります。
骨格筋は腱を介して骨に付着して関節の動きや安定性に関わり、
心筋は心臓にのみ存在して心臓壁の大部分を構成して休むことなく働いて全身に血液を供給し、
平滑筋は血管・気道・腸管などに存在して消化や血圧調整などの生体機能の維持の役割を担っています。

より細かい違いは、下記の通りです。



骨格筋は、筋線維(筋細胞)という円柱状の細胞が数千個集まった組織です。
細部(筋フィラメント)から全体(骨格筋)へと、順番にまとめてみましょう。

①筋フィラメントの集合体が筋原線維。筋原線維を筋形質膜が包む。
②筋原線維の集合体が筋線維。筋線維を筋内膜が包む。
③筋線維の集合体が筋束。筋束を筋周膜が包む。
④筋束の集合体が骨格筋。骨格筋を筋上膜が包む。

この筋上膜は周囲の結合組織と筋膜を形成しており、筋上膜のことを深筋膜、周囲の筋膜のことを浅筋膜と呼んだりします。一般的によく耳にする「筋膜」とは、この2つのことを指すことが多いです。

それでは、筋フィラメントをさらに細かく見ていきましょう。
前述の表で「横紋」という言葉が出てきましたが、横紋に見えるのは大小2種類の筋フィラメントが重なり合っているためです。
太い筋フィラメントはミオシンが構成し、細い筋フィラメントはアクチンが重合した二重螺旋に、トロポミオシンやトロポニンが結合して構成されています。

 

太い筋フィラメントと細い筋フィラメントが重なり合う部分をA帯といい、顕微鏡では暗く見えます。細い筋フィラメントのみの部分をI帯といい、顕微鏡では明るく見えます。
ちなみに、暗く見えるのは屈折率が高いためで、A帯のAはAnisotropic(異方性)の頭文字からきており、明るく見える部分は屈折率が低く、I帯のIはIsotropic(等方性)の頭文字からきています。
そして、I帯の中央にはアクチンが付着するZ帯(Z板)があり、Z帯とZ帯の間を筋節といい、太い筋フィラメントのみの部分をH帯といいます。

以上が、骨格筋の構造になります。
この構造を覚えておくと、筋の収縮メカニズムも理解しやすくなりますので、覚えるまで何度も確認してみてください!



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