近年、概日リズムの発振の分子機構が解明され、ほぼ全ての細胞で発現する時計遺伝子の転写・翻訳フィードバックループによって約24時間のリズムが生じていることが分かってきました。特にBMAL、CLOCK、PERs、CRYs は概日リズムの発振において中心的役割を持っており、またその下流の遺伝子(以後、CCG = 時計制御下遺伝子と呼ぶ)の発現をリズミカルに制御しています。
肝臓と心臓においては、発現する全遺伝子の約10%がCCGだとされています。これら時計遺伝子が安定的に発現振動することで、約24時間周期の睡眠/覚醒、血圧、体温、ホルモン分泌など多くの生命活動の調整が行われています。また、概日リズムの破綻や概日関連遺伝子の多型は高血圧や糖尿病、睡眠障害など多くの疾患との関連性が報告されています。さらに、直接的な創薬ターゲットとしてだけでなく、薬の代謝効率の観点からも研究が盛んに行われています。
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